青稜中学校・高等学校
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inter-edu’s eye
東京・品川区にある青稜中学校・高等学校(以下、青稜中高)の理科室には120種類を超える生物たちが飼育されています。担当するのは中学1年〜高校3年生、総勢143名が所属する自然科学部の部員たちです。生き物への温かい愛情を注ぎながら学校生活を送る自然科学部メンバーにインタビューしました。
今回は、前部長・副部長、現部長・現部長の4名の方にお話をうかがいます。
前部長 栗山奈月さん
高校3年生
中学1年生から飼育班に所属し魚類を担当、コリドラスを飼育している。実験班にも所属し、外部プロジェクトでサメの研究も行う。
前副部長 佐藤あかりさん
高校3年生
高校からの外部入学。担当は魚類の飼育。レッドテールキャットは稚魚から育て上げ、朝は必ず魚たちの様子を確認し、異常がないか確認してから授業に向かう。
現部長 長門誠人さん
高校2年生
2024年7月から栗山さんより部長を引き継ぐ。は虫の飼育を担当し、特にトケイヤモリが好き。実験班にも所属しサバンナオオトカゲの餌判別について研究している。
現副部長 赤松佳央さん
高校2年生
高校からの外部入学。カエルが大好きということからカエル飼育を担当。多くの種類を飼育している中、一番のお気に入りはヒキガエル。穏やかな性格に惹かれている。
1
初開催!幼稚園児を招いた
「青稜1日動物園」
2024年5月、校内には自然科学部が開催したミニ動物園、「青稜1日動物園」に訪れた幼稚園児たちのはしゃぎ声と笑顔があふれました。
開催の経緯と当日の様子についてお聞かせください。
栗山さん
地域貢献を目的に企画しました。幼稚園児たちに生き物に対して親しみを持ってもらえるような機会をつくりたいなと思っていたのです。幼稚園児ということで部員たちが小さい子とのやりとりができるか、部長の立場では不安(開催時は現職部長)だったのですが、園児たちは些細なことでも喜んでくれて、とにかく元気。
とっても楽しんでくれました。
佐藤さん
文化祭では小学生より上の年齢層が多く、小さいお子さんたちに生き物の魅力を伝える機会がないと思っていました。
開催が決まり、小さい子の目線を考えた展示になるように工夫しました。
赤松さん
文化祭の際は説明する相手も小学生でも高学年が多いので、専門用語も少し入ったちょっと難しめの説明をしていますが、園児なので分かりやすい説明を心がけました。初めてのことで学ぶことが多い1日でした。
長門さん
僕は園児を案内する係でした。みんな素直で、生き物の世話をすることにとても感動してくれていたので、なんだか誇らしい気持ちになりました。
2
生き物とともに過ごす
スクールライフ
皆さんはどのようなきっかけで自然科学部に入ったのでしょう。
栗山さん
中学受験の体験入学で自然科学部を知り、この学校に入りたい!と思い受験しました。小学生の頃からサメに興味があり、ここで魚の研究ができると思い入部しました。
佐藤さん
高校受験の際に体験入学で理科室を見学し、ここに入りたいと思いました。とはいえ、入学時は週に1回程度。でも栗山さんと知り合い、魚たちに興味を持つようになり真剣に活動するようになりました。
赤松さん
高校に入学してから自然科学部のことを知りました。家では猫2匹のほかにも亀を2匹飼っていてもう定員オーバー。ここならカエルが育てられるという思いから入部しました。
長門さん
中学1年から入部しています。中学受験のモチベーションが部活に入ることでした。理科室にいると、生き物好きだからこそ通じる話をいっぱいできて居心地が良い。みんなとのコミュニケーションが毎日を過ごすモチベーションになっています。
生き物が相手ですが、大変だったことはありますか。
長門さん
飼育している中には、日本原産ではない生き物もたくさんいるので「脱走」しないように、ゲージの戸締まりなど、指差し確認しながら注意しています。
赤松さん
担当者が複数いるので、誰がいつ餌をあげたのかといった連絡事項がとても多いので、班ごとにLINEグループを作ったり、ホワイトボードでも状況がわかるようにするなど報連相はしっかり取るようにしています。
3
自然科学部で気づいた
「部活って楽しい!」
どんなときにやりがいを感じましたか。
佐藤さん
担当しているレッドテールがなかなか餌を食べてくれず、どの餌ならいいのか、根気よく餌やりをしていたら人が来たら餌をくれるということが分かったらしく、寄ってきてくれるようになりました。コミュニケーションが取れていると分かり嬉しくやりがいを感じました。
栗山さん
私は部長という立場でもあったので、役職に就いた後輩たちが自分の仕事に責任を持って活動している様子を見ると、すごく成長したなと思って嬉しくなりました。
赤松さん
中学時代に入っていたクラブがスパルタで、部員同士の関係性が良くなくて辛かったんです。でも自然科学部に入り、楽しい関係性をつくることができて、部活ってこんなに楽しいものだったということに気づくことができました。
長門さん
上級生になり後輩からの相談も受けることが増えました。話を聞いている中で、「もしかして尊敬されているかも」と感じられる時があって、人としてランクアップしたのかなと感じます。今は、部長を任されたので精一杯やろうという気持ちです。
それでは新部長と副部長から今後の抱負をお聞かせください。
赤松さん
私は高校からの入学だったので、1年目でこんな重要な役割を任されるとは思いませんでした。生き物も部員もどんどん増え、まとめていくことも大変だと思うので、後輩たちとも積極的に関わって、何でも話せる、すぐに相談できる先輩になりたいと思っています。
長門さん
全国的に見ても、この規模のクラブはないと思います。僕は中学3年のときに中学部長になり、仕事を任されることが増え、勉強との両立が大変だったときもありました。でも部長となった今、「学校の看板」を目指して、広報活動も担うくらいのクラブになるようにしたいと思っています。
4
自分たちで目標を作ることが
できるのが自然科学部
理科教師で自然科学部顧問になって5年目の西岡華実先生、3年目の芹澤里奈先生にもお話をうかがいました。
活動している生徒たちの印象について教えてください。
芹澤先生
多くの生物を飼育し観察する中で、自らテーマを持って研究をする生徒が増えました。外部での発表機会も多くなりました。そうした研究活動を通して、探究的な考え方ができてきていると感じています。
こんなに多くの種類がいる生き物がいるクラブは珍しいと思います。先生方は自然科学部についてどんな思いをお持ちですか。
西岡先生
爬虫類や両生類について、知識として知っていてもどんな特徴があるか実際に見て比較し分かることがあると思います。学習で得た知識をただ覚えただけにするのではなく、生きた知識を身につけてほしいという思いがあります。
もう一つは生き物がいっぱいいる理科室という、教室とは違う空間で、生徒がちょっとホッとできるような場所として、また教室以外のコミュニティの場所にもなればと思っています。
活動を通して、生徒たちにどのような学びを得てほしいと思いますか。
芹澤先生
自然科学部は何かの大会で1位を取るということではなく、飼育活動がメインですが、自分たちで目標を作ることができる部活だと思います。いろいろ失敗もあると思いますが、チャレンジしてレベルアップしてほしいと思います。
西岡先生
生き物の良い面ばかりではない、生き死になどもある、現実的な面を体感することは重要かと思います。また今日は面倒だからサボっちゃえということができない。責任を持つということはどういうことか、実体験から理解してほしい。最近は、企画を出してくれる生徒が増えてきました。実現するまでには何が必要か、相手はどう感じるか、実現させるためのプロセスも含めて学ぶことで、成功体験を身につけてほしいです。
編集後記
生き物たちの導入、飼育にあたっては創部当初から提携するペットショップから専門的な指導を受けているとのこと。取材時、理科室を案内してもらいましたが、壁面や飼育ケージなどには細かく書かれた注意事項が貼られており、生徒たちの生き物に対する責任と愛情が感じられました。7月に開催された中学校のオープンキャンパスでも、自然科学部の展示は大好評でした。9月22日(日)には青稜祭が開催されます。ぜひ自然科学部にも訪れてみてください。
イベント情報
中学校イベント日程
学校説明会(保護者対象)
10月5日(土)14:00〜16:00
体験入学(5・6年生対象)
10月12日(土) 14:00〜16:00
学校説明会(保護者対象)
11月2日(土)14:00〜16:00
高校イベント日程
学校説明会(保護者対象)
10月5日(土)10:30〜12:00
学校説明会(保護者対象)
11月2日(土) 10:30〜12:00
学校説明会(保護者対象)
11月16日(土) 14:00〜16:00
※学校見学は随時可能。月〜金および9月1日〜1月31日の土曜日10:30〜15:00