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1881年に創立した伝統あるミッションスクール・白百合学園中学高等学校(以下、白百合学園)。日本を代表する名門女子校として女子の憧れの存在です。今回は、2021年度に在校生・保護者限定で行われた同校の学園祭の舞台裏を取材しました。
大きな盛り上がりとなった学園祭準備の様子や、前例のないオンライン開催に向けて奮闘した学園祭実行委員会の生徒たちの声をお届けします。※撮影時のみマスクを外しています。
同校の学園祭は例年9月に行われますが、2020年度はコロナ禍の影響で中止。2021年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響で例年通りとはいかなかったものの「なんとか開催したい!」という生徒たちの熱意が結実し、白百合学園の学園祭としては初めての特設サイトを立ち上げ、主にオンラインによる発表を生徒・保護者限定公開で11月~12月にかけて行いました。
厳しい制約のなかで画期的な学園祭を実現した学園祭実行委員会の高2生(2021年度当時)4名に、開催までの道のりや思いをうかがいました。
学園祭実行委員長
M.Yさん
将来の夢
看護師
活動内容
オンライン用の特設サイトを構築したほか、他部門のまとめ役を担当。中1生から4年間実行委員を経験。何度も話し合いを重ねて他校とのコラボ企画を実現した
学園祭実行委員(中夜祭部門)
H.Mさん
将来の夢
小学校の教諭
活動内容
中2生から実行委員を務める。中夜祭とは2日間開催される学園祭の1日目に来場者が帰った後、生徒のみ参加できるイベント。今回は昼食時に動画として活動が放映された
学園祭実行委員(講堂部門)
S.Nさん
将来の夢
大学で文化を学び、将来仕事に活かしたい
活動内容
講堂のステージで劇や歌を発表する5団体(ダンス部・吹奏楽部・ESS・CCF・演劇部)のサポートを担当。M.YさんやH.Mさんが中学のときに楽しそうに活動していたのを思い出し初の実行委員となる
学園祭実行委員(装飾部門)
I.Yさん
将来の夢
デザイン系の仕事を目指し美術大学進学を希望
活動内容
今回が初の実行委員。装飾部門ではポスターや垂れ幕などの展示物を制作。垂れ幕製作時には女の子の顔をあえてシンプルに仕上げ、多くの人に好感をもってもらえるように気を配った
学園祭のオンライン化が急遽決まりましたが、どう思われましたか?
M.Yさん
前年の11月から学園祭準備を始める委員たちの活動は、例年なら先輩たちのつくってきた伝統を受け継ぎながら、その年らしくブラッシュアップするというものです。私とH.Mさんはいつもの学園祭を知っているので、開催できないことに少し落ち込むところはあったのですが、「前に進むしかない」という雰囲気になったので、企画もオンライン化に向けてすぐに動き始めました。
S.Nさん
そもそも2021年度の学園祭実行委員会が結成されたときから、もしかしたらオンラインになるかもしれないことを念頭において活動していたので、焦りはありませんでした。私は今までの実行委員会を知らない分、新たなアイデアを発案することができたので、すごく良い経験になったと思います。
続いて、具体的に初のオンライン学園祭の舞台裏をうかがいました。
「前に進むしかない」とのことでしたが、具体的にどのようにオンライン化に対応されましたか?
M.Yさん
特設サイトを開設することになったので、私がサイトを構築しました。HTMLについて知識が全くない状態から情報科の先生のお力を借りて、2日間程度で完成させることができました。
初めてだったのでつくり方を理解することから始まり、ジャンルなどの内容を検討してサイトの階層構造を考え、映像の見やすさを追求していきました。動画が直前に一気に集まったので仕上げは必死でしたが、充実したものになったと思います。また、サイト開設を手掛けたおかげでITに強くなったのはうれしい副産物です。
さらに、念願だった他校とのコラボ企画を実現できたのも、オンラインだったからかもしれません。春段階で一端頓挫した企画だったのですが、夏休み明けからZoom会議などを通して企画が動き出し、無事動画として発表することができました。
S.Nさん
先程、新しいアイデアと言ったのですが、講堂部門はステージ発表をするダンス部・吹奏楽部・ESS(英語劇部)・CCF(仏語劇部)・演劇部の練習風景を夏休みにたくさん写真撮影していました。学園祭開催の際に講堂前に看板の一部として出す予定だったのですが、オンラインに決まったので、生徒から募集した写真と合わせて100枚近くあるフォトムービーを作成しました。
オンラインの学園祭でも生徒のみんなに実際の学園祭のように楽しんでもらえる企画を提案したいとの思いが、アイデアを考える力になったと思います。友達から「良い動画だったよ」という言葉をもらったのが、すごくうれしかったです。
H.Mさん
中夜祭部門は参加者が生徒なので、オンラインが決まった夏休み明けの時点では手つかずの状態でした。ですから、ほかの部門以上に急ピッチで活動する必要があり大変でした。
学園祭実行委員会には次年度に引き継ぐために1年間の活動を記したノートがあり、いつまでに何をするか、その年の総括や反省点を書いてあるものが代々受け継がれています。そのノートに「実施したい」と何年も書かれていた企画があり、思い切って「ミスター白百合ショー」と題した寸劇風の動画を企画立案しました。
先生方のご指導のおかげで企画が通ったので急いでシナリオ制作をし、キャストを募集して動画撮影に編集作業まで駆け抜けました。初めての試みだったので反響が不安だったのですが、中夜祭の放映中に隣の教室から笑い声が聞こえてきて「これで良かったんだ、やって良かったな」と実感しました。
I.Yさん
装飾部門はオンライン化が決まる前にすべての作品をつくっていたので、たくさんの作品をどう展示するのかが課題でした。結局、先生と相談して3つ展示物を選び、多くの生徒が登校するより早く学校に来たり、お昼休みを利用したりして設置しました。通常の学園祭では、学園祭準備日があり、準備に専念できるのですが、今回は準備日がなかったので、装飾部門に限らず実行委員たちはスピード感を持って対応していましたね。
今回の学園祭のテーマ「Break out」に合わせ、垂れ幕は女の子が扉から飛び出すデザインにしました。遠目から見ても迫力のある目に留まるものをつくりたかったので、試行錯誤しました。無事、展示物の一つに選ばれ、いざ垂れ幕を飾り、中庭に降りてその光景を見たときに「すごく頑張ったな」と、達成感でいっぱいになりました。
白百合学園では例年チャリティーカフェを運営し、売上を慈善団体などを介して寄付しています。2021年度はオンラインということでカフェの代わりに学園祭実行委員会がデザインしたオリジナルタオルを受注販売することに。生徒の注文は約900枚!13万円程度の売上は公益財団法人日本ユニセフ協会「新型コロナウイルス緊急募金」に寄付されました。
2021年度限定の試みになるかもしれないオンライン学園祭を見事に成功へと導いた感想をうかがいました。
通常授業の中で大変な思いをされながら準備をされたのですね。学園祭実行委員をした経験を振り返って今思うことを教えてください。
H.Mさん
特にオンラインに切り替わった際に、自分が何をしたいのかを考え、行動する力がついたと思います。
例年、多くの生徒は自分の持ち場で忙しく、ほかの部活のステージや教室展示を見に行く時間が限られてしまいますが、今回は動画上映だったので思う存分、仲間の作品を楽しむことができたようです。オンライン学園祭をできて今改めて良かったと実感しています。
I.Yさん
コミュニケーション能力はすごく重要だなと改めて実感しました。私は将来、デザイン系の仕事に就きたいと思っているのですが、デザインは一人ではつくれるものではなく、いろいろなメンバーと協働していくものだと装飾部門の活動で感じました。今回の活動は将来の夢にとって良い経験になったと思います。
本当にお疲れ様でした!
印象的だったのは、学園祭実行委員たちが部門が違っても手が空いたら自ら手伝いを買って出ていたというエピソードです。助け合いの精神は実行委員だけでなく、全校生徒に根づいており、装飾部門の手伝いなど積極的に多くのメンバーが参加したと言います。どの生徒も楽しそうに手伝ってくれるのがうれしいと4名が笑顔で語ってくれました。協調性、周囲の人を大切に思う心、人々のために奉仕する心が確かに育まれていると感じる取材となりました。
授業見学会
2022年5月9日(月)・11日(水)・13日(金)
学校見学会
2022年6月18日(土)
学校説明会
2022年7月2日(土)・10月15日(土)・
11月12日(土)・12月3日(土)