東洋英和女学院 中学部・高等部
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inter-edu’s eye
東洋英和女学院中学部・高等部(以下、東洋英和)では、毎年7月に中学部の全クラスが参加する合唱コンクールが開催されます。中学最後の合唱コンクールに臨む3年生各クラスの指揮者の生徒と、同校卒業生でもある音楽科・亀井真知子先生に、コンクールへの熱い思いを語っていただきました。
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学校に文化的なイベントを!
合唱コンクールは生徒の発案
S.I.さん(1組)
所属クラブ:テニス部
M.T.さん(2組)
所属クラブ:バレーボール部
R.S.さん(3組)
所属クラブ:剣道部
H.Y.さん(4組)
所属クラブ:バスケットボール部
M.O.さん(5組)
所属クラブ:英語劇部(EDC)
音楽科・亀井真知子先生
同校の合唱コンクールは1979年から続く伝統の行事です。当時の図書委員会が新しい文化的な行事が作りたいという思いからスタート。それ以来、運営も練習も、生徒主体で行われています。コンクールが近づくと、朝や放課後は教室や音楽室だけでなく、ピアノのある場所(同校では校内のさまざまな箇所にピアノを設置)に集まって練習を重ねています。コンクールで歌われるのは課題曲・自由曲の2曲。自由曲は日本人の作曲家が制作した合唱曲から選びます。
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指揮者の心得は
「褒めて育てる」!?
クラスをまとめ上げる役割でもある指揮者。どんな思いで挑んだのでしょうか。
指揮者として心がけていることはなんでしょうか。
S.I.さん
1組は合唱部の生徒もいるのでソプラノに特徴があるため、自由曲もソプラノが活かせる曲にしました。でも合唱部はやる気があるけど運動部の子のやる気がなかなか出にくい状況になってしまったので、できるだけ褒めて伸ばそうと心がけました。そうすると結構大きな声で歌ってくれるんです。最優秀賞を目指すのは大事だけど、みんなが楽しいのが一番だなと思っています。
M.T.さん
私は押さえつけないことを大事にしています。以前は練習を休んだらみんなの前で歌ってもらう、くらいのことを言っていたのですが、さすがに反発がありました。それからは各パートリーダーに任せて、パートリーダーが行き過ぎることがないよう調整することが指揮者の役目と思って練習しています。
R.S.さん
私のモットーは楽しく合唱ができること。学年が始まり、最初の大きな行事なので、ここでクラスの雰囲気が悪くなると1年間ずっと悪くなってしまいます。なので、楽しくやろうと思って褒めすぎるくらい褒めています。
H.Y.さん
中学最後の思い出づくりはもちろんですが、合唱はクラスを団結させる一つの道具だと思うので、“楽しくないと思わせない”ように努力しています。私はバスケ部なのでガッツは他のクラスに負けないし、部活でも培った仲間を大切にする思いは指揮をする上でも大切にしています。
M.O.さん
練習に参加してくれず心配な子がいましたが、怒ると嫌な気持ちになってしまうので、怒ることはやめようと決めています。私は、ピアノは得意なのですが歌が苦手なんです。所属するEDCで歌う場面では先輩から指導を受けて落ち込むこともあるので、クラスでは絶対褒めています。
亀井先生
楽しくやろうという思いを持ってくれていることをとても嬉しく思います。中間試験が終わると自主的に集まり始め、休み時間ごとにさまざまなところから練習している曲が聞こえてきます。一日一日、練習を重ね、生徒たちの歌唱がどんどん変化していますので、最後はどうなるか期待しています。
練習中の様子
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音楽が常に身近にある
東洋英和
貴校は合唱をとても大切にされていますね。
亀井先生
本校はミッションスクール。礼拝で歌う讃美歌で一日が始まりますので、歌が中心にあると言えるでしょう。高校3年になると、卒業式で本校伝統の聖歌など4曲を歌うため「合唱」という授業が必修となります。中学はいわばその土台づくりと言えます。
皆さんにとって合唱コンクールとはどんなイベントですか。
S.I.さん
新年度にクラス替えをして1か月ちょっとで練習が始まるので、練習によってクラスメイトの人柄が分かるという面もあります。最後の合唱コンクールなので後輩たちに良いところを見せたいです。
M.T.さん
歌が嫌いな人も好きな人もやるしかない状況なので、コンクールによってクラスがまとまるような気がします。それに中2のときのクラスが楽しかったという子もいるので、このコンクールを通して、「3年のこのクラスも楽しいじゃん」と思わせたいという気持ちです。
R.S.さん
指揮者と伴奏者2名でまとめないといけないのは本当に大変です。でも練習でそれまで出なかった音、小さい声だったのがどんどん大きな声を出せるようになったときは、やりがいや達成感を感じています。
H.Y.さん
中1のときの合唱コンクールでいろんな友達ができたので、大好きなイベントです。できないところをみんなが頑張って、できるようになると嬉しくて、なんだかお母さんのような気持ちになります(笑)。当日は私が育て上げたクラスを見てほしいです!
M.O.さん
私はピアノも好きで音楽も好き。音楽だけは絶対頑張ろう!という気持ちなんですが、スポーツ系のクラブの子は声がまだ大きく出せない子もいて。でもみんな頑張っているので最後は絶対感動できるような終わり方にしたいです。
亀井先生
音楽の授業では一部のクラスしか受け持っていないので、こうして各クラスの指揮者の皆さんが集まって、合唱や音楽にかける思いを聞くのは初めてでした。練習中はもがきながら、探り探り進めていっていると思います。そのような中で、指揮者を中心に刺激しあいながら、本番に向けて気持ちを高めている様子を聞き大変感激しました。
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合唱コンクール開催!
最優秀賞に輝いたのは…?
インタビューから2週間後の7月2日、新マーガレット・クレイグ記念講堂(大講堂)にて合唱コンクールが開催されました。
最優秀賞に輝いたのはM.T.さんが指揮する2組! M.T.さん、担任の野溝奈央先生から喜びのコメントが届きました。
M.T.さん
クラス名が呼ばれた瞬間、思わず大きな声を出して飛び上がるほど嬉しかったです。課題曲も自由曲も難易度が高く、クラス全体をまとめ、引っ張っていけるか自信がなかったのですが、みんながサポートしてくれて引っ張ってもらったのは私の方でした。今まで一本一本糸を紡ぐように丁寧に練習してきた二つの合唱曲。当日は不安と緊張もありましたが、やっと発表できる高揚感を感じながら臨みました。コンクール直前に体調不良者が多く出たため、最後の練習は「通し練習」を急遽取りやめ「歌詞考察」に変更し、曲に対する思いを深い部分で共有できたことが受賞につながったと思います。
野溝先生
生徒たちは最優秀賞の他、表現賞、指揮者賞、課題曲と自由曲両方の伴奏者賞と計5つの賞を受賞しました。皆の努力が報われたことを感じ、彼女たちの誇り高い姿を見て、私もとても感動しました。この経験は生徒たちにとっても、私にとっても一生の宝物です。本校の部長がよく「東洋英和には皆が輝ける場所がある」と話していますが、その言葉の意味が今回よく分かりました。この合唱コンクールで身につけた自己表現力は、その後の学校生活にも良い影響を与えています。
編集後記
「苦しいのは自分だけと思っていたけどみんな悩みながら解決策を見つけているんだ」と指揮者としてクラスをまとめる大変さもにじみ出た座談会でした。それを乗り越え、きっと悔いのない合唱コンクールになったと思います。
同校では課外教室でもピアノや器楽などを学ぶ機会があります。常に音楽が身近にある環境は豊かな学校生活を育む基盤となっていると感じました。
イベント情報
いずれも完全予約制です。
9月学校説明会
9月7日(土)
楓祭(文化祭)
10月25日(金)・26日(土)
入試説明会(6年生対象)
11月16日(土) 9:00〜11:00
12月学校説明会
12月26日(木)