inter-edu’s eye
学校のさまざまな取り組みを通して、生徒が好きなことや夢中になれることを見出し、それをテーマに創造力を身につけていこうという『創造性教育』を掲げる瀧野川女子学園中学高等学校。連載第1回目は、まさに創造力を刺激できそうな宿泊行事について、担当の先生から素敵なレポートが届きました。
奄美冒険旅行(中学2年)
自然との共存が実感できる地を求めて
カヌーでマングローブのジャングルを抜け、マングローブが産まれ、豊かな生物が息づく干潟へと冒険に出ます。
神々が住む島と言われるこの島と瀧野川女子学園との出会いは衝撃的なものでした。
中高一貫コースの設立に合わせて、私たちは新たな宿泊行事の形を模索していました。そこに思い描いていたのは、大自然の中での様々な冒険に満ちた、ワクワクするような旅。また、私たち日本人が失いつつある、自然と共に生きてきた文化を改めて体験させたいとも考えました。しかし、数年に渡って調査を続けていましたが、なかなか思うような場所は見つかりませんでした。そのような時、たまたま奄美大島に行ってきた方が撮影した一本のムービーを見て、「ここだ」と直感しました。
美しい山並みに囲まれた湾の中、夕暮れに照らされてキラキラと輝きながら砂浜に打ち寄せる波の姿が映されており、人の手がほとんど入っていない、けれど、人と自然が共に暮らしている場所であることが、一目でわかる映像でした。
すかさず、現地へ飛び、実際に島を周り、その直感が間違っていないこと、そして、この自然を守っている素晴らしい人々がいることを知り、ここを旅先とすることを決断しました。
豊かな恵みに命のつながりを感じて
カヌーで干潟に上陸し、生まれたばかりのベビーマングローブや前に進むカニの群れを観察して、川を渡ります。
生徒の皆さんが奄美大島に降り立ち、まず驚くのは、その食べ物の美味しさではないかと思います。実は、奄美大島では、牛肉と牛乳以外のほとんどの食物が島の中でとれます。さとうきびが有名ですが、他に果物はもちろん、野菜、お米、鶏、卵、豚、そして、カツオやマグロ、伊勢海老にサザエ、ウニなど、全てが一級品です。
その豊かな食物を育んでいるのが、毒ヘビのハブが守る原始時代から変わらない原生林なのです。この豊かな森を通り、木々からの栄養を沢山吸収した水と土が育てた多彩な農作物。マングローブの原生林、綺麗かつプランクトンが豊富なサンゴの海、その海が多くの魚や貝を育て、それらが食事と共に食べたサンゴのかけらが白い砂浜を作り出す。そして、そこに住む人々は、この豊かな自然を傷つけぬよう、大切に守り、自然から大いなる恵みをいただく。
水がつなぐ、この見事な循環を、全て体験できる場所がこの奄美大島なのです。それこそ、海を覗き込めば、サザエやウニ、伊勢海老などを当たり前のように見つけることができる場所なのです。
昔は、日本中にこのような自然があったそうで、自然と共に生きることは私たち日本人にとってはごく普通のことでした。身近なところで例を挙げると、私たちの学校の下の線路が走っている所も、昔は日比谷入江と呼ばれる海で、豊富な魚介類がとれたことが遺跡の調査で分かっています。このように何千年と海と共に生きてきた私たち日本人が、経験したことがないのに何故か懐かしいと感じる、いわば海洋民族である私たち日本人の心の原点とも言える大自然が待っているのです。
奄美ならではの本格マリンスポーツや文化に触れて
シュノーケリングでは、熟練のガイドの指導のもと、豊かなラグーンで海草を食べる亀たちに会いに行きます。
中学2年生の10月。台風シーズンも終わり、カラッとした爽やかな風が吹くベストシーズンに、6つの挑戦が待つ4泊5日の冒険の旅が始まります。
カヌーを漕ぎマングローブのジャングルを抜け、奇跡と言われるほどの干潟に上陸し、自由に海の上を移動するSUP(サップ)や、美しいラグーンに住む海亀に会いに行くシュノーケリングにも挑戦します。
奄美が育む美味しい物をお腹いっぱい食べ、その自然と寄り添いながら生きる人々の誇りでもある島唄や、大島紬の製造方法の原型と言われる泥染にもチャレンジ。
冒険の旅の最後には、操船の難しい二人乗りのシーカヤックで海に漕ぎ出し、チーム対抗のレースに挑みます。
奄美に生まれ育ち、その自然と共に生きる人々の全面協力によって実現した前代未聞とも言えるであろう冒険旅行。全身で体験しなければわらない感動と学びがこの冒険旅行には込められています。
さあ、冒険の旅へと出かけましょう。