“先進国型入試”に対応!瀧野川女子の新世代教育と大学合格実績
inter-edu’s eye
2026年に創立100周年を迎える北区の女子校・瀧野川女子学園中学高等学校(以下、瀧野川女子)。高3生の多くは年内に進学先が決まり、2022年度大学入試では一人あたり2.2校の受験で進路を決定しています。このような実績を可能にした教育方針と具体的な学びについて、副校長の山口龍介先生にうかがいます。
急上昇する「勝率」国立・難関私大に続々合格
2022年度大学入試の総括をお願いします。
山口副校長大学入試改革元年の2021年度に続き、80%以上の生徒が総合型選抜をはじめとした新しい入試で年内に現役合格しました。一般的に大学入試では7〜8校受験することが多いなか、本校では一人あたり2.2校の受験で進路が決まっています。全受験校数と合格数から学内の平均勝率を見てみると、2022年度は67%を記録しました。
増える“先進国入試”
グラフを見ると、近年、勝率が大きく伸びていることが分かります。
山口副校長大学入試改革前には30%前後を推移していましたが、改革元年の2021年度には49%、今回は67%と上昇しています。なお、2021年度は総合型選抜の合格実績が前年比4倍を記録。2010年から教育改革を行い、より良く変化した本校の教育が、今の大学入試で力を発揮できていることが分かります。私は総合型選抜や公募型の推薦を“先進国型入試”と捉えています。欧米を中心とした大学の入試の多くが、この形式だからです。
先進国型入試は、これまでの入試とどのような違いがあるのでしょうか。
山口副校長保護者の方には、「会社の採用試験に近いもの」と認識していただいたほうが良いと思います。どのようなことが総合型選抜や公募型の推薦で問われているか、さまざまな大学の過去問をご覧になってください。実にユニークで、実践的で、面白い内容です。
世界のトップ大学の影響を受けて日本の大学が変化するなか、瀧野川女子でも中高時代に実践的な学びにつながる取り組みができるよう、教育改革に着手して10年の月日が経ちました。「いよいよ変わっていくな」と実感しながら、大学入試改革を見つめています。
意識だけじゃ足りない!手を動かすのが「創造性教育」
先生が語る「中高時代に必要な実践的な学び」が、瀧野川女子ではどのように行われているのでしょうか。
山口副校長教科教育一つとってみても、ただ単純に教科のことを知って終わりではなく、生徒が「学んだ知識を活かして実社会で何をするか」と意識できるようにしています。このとき、意識を持つだけでなく、実際に手を動かして行動に結びつけていくことが大切なのです。
本校には、実社会で問われるような総合的な課題に対して解決策を考え、新しいものを作る「創造性教育」という独自の科目があります。手を動かして試行錯誤するなかで、実社会で役立つ考え方や心構えが育まれ、みんなで協力して成し遂げていく能力が培われていきます。
中学校の創造性教育について教えてください。
山口副校長中1では「理想の街をつくろう」をテーマに、実在の街でフィールドワークを行います。そして、いいところや改善したいところを発見したうえで、理想の街をつくるにはどうすれば良いのかチームで考えます。この際、提案して終わりにはせず、ジオラマを作って形にしていく。生徒はこのプロセスで、デザイン思考という新しい考え方を学んでいきます。
中2ではロボット制作に挑み、日本機械学会が主催する大道芸ロボットの大会に参加します。人を喜ばせるロボットを創るにはどうしたら良いか、アイデアを出し合って取り組みながら、生徒は「各教科での学びは実社会で役に立ち、新しいものを生み出すことに結びついているんだな」と実感します。
高校では、創造性教育はどのように発展していくのでしょうか。
山口副校長高2では「事業化実習」を行い、チームに分かれて起業を経験します。生徒が出資して模擬会社を立ち上げ、デザイン思考を使って新商品を作り、あかつき祭(文化祭)で販売します。経営、マーケティング、生産、財務会計と各自が役割を担い、メンバーが互いの強みや個性を引き出しあって、一人では成し遂げられないような事業を会社として成し遂げていく。進路選択を迫られる高2の時期に、生徒は事業化実習をとおして「自分はどんな仕事をして、どんな人生を歩もうか」ということを考えていきます。さらに、創造性教育で重ねたさまざまな経験は、変化する大学入試において非常に大きな武器となり、生徒たちを後押ししています。
「第7世代ICT」世界を変えるリーダーへ
創造性教育以外の学びについては、いかがでしょうか。
山口副校長先生はファシリテーターであり、コーチでもあります。生徒との問答の中で、知識を入れながら考えや意見を引き出すよう導きます。先端ICTを活用し、通常の2倍以上の進度で効率の良い授業を行いながら生徒の「分かる」「できる」を実現しています。
山口副校長一般的に、授業は生徒が「知る」「分かる」にたどりつくまでが精一杯です。「できる」「応用する」は、宿題や自宅学習に委ねられたり、塾や予備校が必要になったりします。対して本校の授業は、第7世代の教育ICTと伝統の実学教育が組み合わさることで、Step8(図表参照)までを通常授業内に行っています。Step6~8こそ、実社会や先進国型の大学入試でも求められている力なのです。
では、Step8の英語授業とはどのようなものでしょうか。
山口副校長本校には日本人の英語科教員5名に対して、ネイティブの教員が9名います。そのうち5名は特別免許を持っていて、単独で授業を受け持つことができます。話す・書く・聞く、そして英語で考えることを中1から続けていくと、生徒は英語を話せるのが当たり前だと認識し、中2、3でネイティブの先生と英語で日常会話をするようになります。そして、英語がある程度話せるようになると、ネイティブの先生中心の授業になります。第7世代のICTの力もあって、通常なら中高6年間で学ぶ範囲を高1でほぼ学び終えてしまいます。その後はネイティブの先生がより高いレベルで話すための演習を行い、実践を重ねます。
受験生と保護者が驚く授業体験
では最後に、中高受験生へのメッセージをお願いします。
山口副校長ICTを活用した先進的な教育は、言葉で見聞きしただけではイメージしにくいところがあるかと思います。このため、学校説明会では在校生が受けている授業と同じように、“黒板の無い教室”で、一人一台のiPad ProとApple pencilを使い、クラウドを介してリアルタイムに先生や仲間とノートを共有しながら進む授業を体験していただけます。実際に体験した受験生や保護者の方々からは、驚きと感嘆の声をいただき、大変好評です。ぜひ来校いただき、本校の教育活動をご自身の目で見ていただきたいと思います。それではみなさん、ごきげんよう。
編集後記
学校改革に着手し、2019年度には全普通教室から黒板がなくなった瀧野川女子。その教室でぜひ、改革の成果となる“第7世代の教育”を体験してみてください。
次回は、現場で日々生徒と向き合っている先生方に瀧野川女子の革新的な授業についてうかがいます。今回記事と併せてご覧ください。
イベント情報
イベント名 | 日時 | 備考 |
---|---|---|
学校説明会&個別相談会 | 2022年6月11日(土) 13:30〜15:30 | 小4〜小6対象 |
体験入学 | 2022年6月25日(土) 時間未定 | |
学校体験(夏祭り) | 2022年7月31日(日) 時間未定 |
連載コンテンツ
現場の先生に直撃!瀧野川女子の先進型教育
最先端のICT環境と伝統の実学教育を組み合わせた質の高い授業とは?現場の先生に授業の具体例を聞きました。記事を読む≫
スペシャル動画
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7:05
ICTを活用した最先端授業に密着
「ICTのメリット」を先生・生徒が紹介
2022年11月22日
授業紹介
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高2で会社を経験する事業化実習
あかつき祭に向けた商品制作の様子を紹介
2021年9月14日
授業風景