きっと楽しいに決まってる!女子校で学べる家庭科・理科の授業

きっと楽しいに決まってる!女子校で学べる家庭科・理科の授業

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大学に隣接するキャンパスを存分に活用しながら、伸び伸びとした中高一貫の6年間を過ごすことのできる家政大附属女子中学校・高等学校(以下、家政大附属女子)では、他校のさらに一歩上を行く家庭科・理科の授業が実践されています。さまざまな専門性を活かして毎日をわくわくさせてくれる先生方のコメントから、その魅力をご紹介します。

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人生に欠かせない家庭科から広がる多様性への理解

家政大附属女子の代名詞とも言える家政学・栄養学の基礎となる家庭科の指導を担当されている権藤真理子先生から、授業の特色や中高大連携授業、さらにはご自身の指導方針に至るまでをお話しいただきました。

中1学年主任で家庭科教諭の権藤真理子先生
中1学年主任で家庭科教諭の権藤真理子先生
授業の様子
権藤先生は技術の授業・高3選択科目も担当されています

家庭科の特色や指導上の工夫を教えてください。

権藤先生今まで思いもよらなかった「そうだったのか!」というひらめきを大切にした授業を心がけています。もちろん、学んだ内容を自宅で実践できる生活に直結した教科ですから、楽しくなるのは当然ですよね。中学生の大半は自立した生活体験が少ないので、基礎的な体験・実習を重ねながら一歩先を踏み出して興味ある分野を見出せる点が家庭科の魅力です。中学校の授業では、パソコンを使用した技術分野と、割烹着などの衣服を作る家庭分野があります。
高校では調理実習が大人気で、和・洋・中の献立で栄養バランスを考えて、調理、盛り付け、配膳と一連の流れに取り組みます。試食ではマナーを守りつつも、それぞれの味付けを確かめ合う瞬間がとても盛り上がりますね(笑)。また手作りの良さも実感できます。

調理をする生徒たち
試食の時間が楽しみで待ちきれません

教科の枠を超えた取り組みやSDGsの取り入れ方について教えてください。

権藤先生ユニークな授業例として、中学の時点から住生活に焦点を当てたテーマを扱っています。一人暮らしを想定して賃貸費用を見積もるという内容や、家族構成や地域に応じて間取りを考えリノベーションしたり、電気・水道・ガスなどの使い方を検討していきます。そこからSDGsに直結する環境問題にも派生していきます。被服の授業では布地の素材や染色・加工による環境への影響、フェアトレード商品や児童労働にまで発展しながら問題を考えています。
高3は選択科目として「食物(しょくもつ)」「被服」「保育」を履修することができます。食物であれば栄養素の働きはもちろん、節水から生ごみの削減まで考えたエコクッキングや、献立作成にも取り組みます。看護の道に進む生徒にとっては小児保育を学ぶ必要もあるので、「保育」を選択する生徒もいます。

高3「食物」の授業で作成したお弁当ランチの献立です
高3「食物」の授業で作成したお弁当ランチ献立です

グループ学習の評価方法や、施設の活用状況を教えてください。

権藤先生個々の生徒がペアワークやグループワークで意見を出し合い、チーム内で優れた内容を集約し、チームの成果として全体へのプレゼンテーション発表へとつなげています。そうした授業は他人任せにすることが許されませんから、他者の意見を採り入れながら自らの役割に反映できるフォロワーシップの精神が養われます。
施設面でも本校の家庭科はとても恵まれています。中高それぞれで調理室が別に設けられ、その調理室もさらに試食と調理のスペースが分かれています。被服室も同様に中高それぞれで分かれているので、複数のクラスで同時に授業を進めることも可能となっています。

中学校のカリキュラムと授業のポイント ≫

高大連携授業や体験授業など独自の取り組みについて教えてください。

権藤先生「省エネ教育プログラムの実証」について、東京家政大学と東京ガスと連携を取り、特別授業を行いました。家庭生活に関連するエネルギー量が普段の行動次第でどのように変動するかを比較するという内容で、大学教授と一緒に教材作りを進めたことでより一層連携が深まりました。
中1・中2の春には「5月の生活」という名称の校外学習があり、今年は千葉で田植えやわら細工作り、飯ごう炊飯を行いました。ここでも燃やす薪を最小限にし、カレー作りでは生ごみを出さないエコクッキングに取り組みました。

初めての飯ごう炊飯で調理したカレーライス
初めての飯ごう炊飯で調理したカレーライス
日焼けしそうなほどの晴天に恵まれた田植え体験
日焼けしそうなほどの晴天に恵まれた田植え体験

先生ご自身の指導方針を教えてください。

権藤先生私は中高大の10年間をこの学校で過ごしてきた卒業生で、校内でも一、二を争う母校愛を持っていると自負しています。楽しんだ学校生活の中から一生大事にしたいと思える友だちや趣味、そして職業を得ることができたので、その喜びを伝えたいという使命感から教員になりました。常に心がけている言葉は「明るく元気に前進あるのみ」です。多様性の時代になったからこそ、周囲に染まることなく苦難や困難に直面しても先を明るく見て起き上がれる強さを持ったしなやかな生徒を育てていきたいと考えています。

中学スクールランチのメニュー方針 ≫

意外な盲点だった「家政学と化学との深いつながり」

続いて、理科を担当されている松原寛子先生からは、基礎学力を向上させる取り組みや女子ならではの授業進行、知れば知るほど奥深い理科の魅力などをお話しいただきました。

理科教諭として理科部の活動にも参加する松原寛子先生
理科教諭として理科部の活動にも参加する松原寛子先生
指導をする松原先生
松原先生は大学院で理科教育を専攻後、理科教諭となりました

中学で基礎学力を定着させるための取り組みを教えてください。

松原先生授業では、クラスメイトと意見を出し合いながら考える時間を設けることを大切にしています。問いに対してじっくり考え、答えにたどり着くまで友だちと試行錯誤するプロセスは、学んでいく上でとても大切だと考えています。実験の結果から、どんなことが考えられるのか、予想した結果と異なった場合には、なぜそうなったかを考えられるよう、指導しています。
中学では、今年度から、これまで朝だけ実施していた自習室を放課後まで拡大しました。今年度より、My Study Roomとしてスタートさせています。対象は中1〜中3で、高校の生徒とは別に部屋を用意しています。朝と放課後は常に多くの生徒が黙々と自習に励んでいる姿を見ることができます。My Study Roomでは、朝は、中3の生徒が運営を行い、各自が自習を行います。放課後は東京家政大学のチューターが常駐し、勉強の質問や学習面でのアドバイスをしています。
高校生に対しては、以前よりNGUルームを用意し、大学受験に向けて自習できる環境を整えています。中学生同様、My Study Roomも実施しており、大学生や本校教員による指導を行っています。また、本校の教員が行う進学講習と、予備校講師による進学特別講座が用意されており、生徒たちは積極的に参加しています。
中高ともに、学期ごとに補習・講習もあり、集団授業でフォローしきれない生徒に対して、個別指導を行っています。

早朝でも自習に集中できる中学My Study Room
早朝でも自習に集中できる中学My Study Room
チューターが常駐する放課後の中学My Study Room
チューターが常駐する放課後の中学My Study Room

理科の特色や指導上の工夫を教えてください。

松原先生女子は、みんなが協働しながら物事を進めるための気配りができるので、お互いに相談しながら協力して取り組む機会を授業の中に多く設けています。中学では、実験を多く行い、その結果から思考するプロセスを大切にしています。
溶液の色が変わったり、気体が発生したりするなど、大きな変化を伴う実験に対し、生徒たちはとても興味を示します。ただ楽しかっただけで終わらせず、興味を示した段階で、なぜそうなるのかと問いかけを行うことで、深く考え、これまで学習したことと関連付けて結論を導けるよう指導していきます。友だちと意見を出し合う中で、ヒントを得て、新たな理解につながっていくことも多くあります。このような時間を大切にしながら、理科の授業を進めています。

NGUルームと呼ばれる自習室の様子
NGUルームと呼ばれる自習室の様子

理科への関心を高めるテーマや、キャンパスを活用した授業例を教えてください。

松原先生キャンパス内のビオトープには教科書に載っている植物がたくさん植生しており、実物を目で見て確かめることができます。理科の観察の授業では、ビオトープを活用し、生徒たちの興味関心を引き出しています。
また、地震について学習する際は、仕組みだけでなく、実際の地震が起きたときにどのように行動すべきか、社会全体として地震対策をどのようにしていくべきかなど、私たちの生活とのつながりまで考えを広げ、話し合う場も設けています。
自然環境と人との関わりについての学習の中では、科学技術の進歩により私たちの生活はとても便利になったけれど、このままでよいのだろうか、生徒たちに問いを投げかけます。学んだことを私たち自身の生活と関連付けて考えられることは、とても大切だと考えています。
生徒の中には、理科を苦手と感じる生徒もいますが、自分の進路について考える中で、興味を持ち、意欲的に取り組めるようになることも多くあります。実際、東京家政大学の栄養学部では、理科の学習がとても大切になります。自分の将来に必要であると知ると、これまで以上に積極的に学習に取り組んでいけます。将来の目標や夢についても、HRなどを利用して考える時間を設けています。

ビオトープまで備えた緑豊かなキャンパス ≫

先生ご自身の指導方針を教えてください。

松原先生社会に出ていくための土台を作るのが中学の3年間だと考えています。長い人生の中で、わずか3年間でありながら、とても大切な3年間です。生徒たちは、さまざまな行事に取り組んだり、日々友だちと過ごしたりする時間の中で、人との関わりを学びます。人と人とが支え合っていることや、助け合っていくことの大切さ、ともに学び成長していくことの素晴らしさも知ります。そのような経験の中で、人を思いやる愛情、ひたむきに学ぶ勤勉さ、さまな視点から物事を捉え判断できる聡明さを、生徒たちは身につけていきます。
各教科の学習もとても大切ですが、それだけをしていても、社会に出て十分に生きていけるわけではありません。本校で大切にしている愛情、勤勉、聡明は、社会に出て活躍していく上で、とても大切な人としての基本であると考えます。本校の建学の精神である「自主自律」は、とても重要な精神です。
私は、探究の時間に学ぶことも、とても大切だと考えています。世の中の出来事に対して興味を持ち、考えていくことはとても良い経験になります。
昨年、中3学年では、グローバル社会をテーマに探究に取り組みました。生徒一人ひとりがグローバル化によって世の中にどのような変化が起きているのかを調べ、疑問に感じたことをテーマにし、探究しました。グローバル化により生産性の向上など良い効果がもたらされた一方で、雇用の損失などさまざな問題も起きていることを生徒たちは知っていきました。その中にあって、私たちはどうすべきか、社会はどうあるべきか、生徒たちは考えます。その貴重な経験は、生徒たちがこれから出会うさまざまな困難を乗り越える力になると、私は信じています。

編集後記

取材前には考えも及ばなかった「家庭科と理科は近しい」という事実にとても驚かされることになりました。オープンスクールや学校説明会ではあらゆる点で同様の驚きが待っていることでしょう。とりわけ自然に恵まれたキャンパス環境は一見の価値があります。ぜひともご覧になってください。

英語・数学の先生へのインタビュー記事はこちら ≫

イベント日程

イベント名 日時
夏のオープンスクール(第1回) 2022年7月17日(日) 9:00~/13:00~
夏のオープンスクール(第2回) 2022年8月28日(日) 9:00~
ミニ学校説明会 2022年9月3日(土) 10:00~、9月10日(土) 10:00~、9月24日(土) 10:00~
中学校説明会 2022年9月17日(土) 14:00~、10月15日(土) 14:00~
秋のオープンスクール 2022年11月5日(土) 14:00~
2022年度の中学校説明会・公開行事 ≫

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