inter-edu’s eye
上野学園中学校・高等学校(以下、上野学園)は、主体的に学ぶ授業の一環として、独自のアクティブ・ラーニングを実施しています。知識を蓄えるだけでなく、その知識を使いこなす力を重要視し、積極的に意見を交わすグループワークを多用するアクティブ・ラーニングによって、生徒たちはどのような成長を見せるのでしょうか。上野学園の取り組みを紹介します。
音楽科もある上野の学校って?公式サイト ≫3つの柱を軸にした少人数のアクティブな学び
上野学園では、21世紀のグローバル社会で活躍する人材の育成を大きな目標として、そのために「学び、考える」「主体的に行動する」「社会に貢献する」の3つを教育の軸として、少人数のアクティブな学びを展開しています。
Trip to Asakusa [中学1年]
英国人講師によるオーラル・コミュニケーションの英語実践の場として、浅草で外国の方々へインタビューを行います。街で出会った人に、英語で話しかける勇気、自分の英語が相手に通じた喜び。こうした経験が、その後の英語学習への意欲や向上心につながります。
上野公園フィールドワーク [中学1年~2年]
◆サイエンスプログラム
中学1年生では、国立科学博物館や上野動物園を舞台に、課題解決型学習を展開。「なぜだろう」「どうしてなのか」という科学の目や心を育てます。また、3年間を通じて、理科の授業内容と、これらの施設を対応させて見学し、本物の科学に触れることにこだわります。
◆ソーシャルプログラム
中学2年生では、上野公園の地理・歴史・文化に目を向けます。江戸時代には「寛永寺」を中心に親しまれた上野。明治以降、多くの文化諸施設がつくられた上野公園の魅力を知り、課題を発見し、その解決法を考えます。
こうした体験型プログラムに対して、生徒はどのように取り組んでいるのでしょうか。教務主任で社会科とクリティカルシンキング科を担当されている竹澤陽介先生からコメントをいただきました。
竹澤先生:生徒が自らの疑問を解決しようと自主的に調査をしている姿を目にするようになりました。疑問が解決するたびに、次の疑問に対して意欲的に取り組むようになってきていると実感しています。仲間と調査計画を立てたり、発表の準備を行ったり、グループ学習を通して協調性や責任感が増しており、その成長に驚かされます。特に、相手の都合を考える、自己犠牲的に行動する、他者の意見を受け入れるなど、社会性が向上していると思います。
また、調査をする前には仮説を立てるのですが、最初は論理的な根拠がない仮説を立てていた生徒も、体験型プログラムの経験を積む中で、次第に論理的な根拠が伴った仮説へと変化します。仮説の根拠にこだわることで、論理的に思考する力が高まっていると感じています。そして、グループやペアでの発表を毎学期行うことが、他者を意識した表現力を身につけることにつながり、生徒は、さまざまな工夫を凝らして発表するようになっています。
「達成感」から自己肯定感をはぐくむ指導
ひとり一つの楽器 [中学1年~3年]
6種類(フルート、クラリネット、サクソフォン、トランペット、ヴィオラダガンバ、リコーダー)の楽器の中から各自1つの楽器を選び、3年間専門の講師から指導を受けます。
中学3年次にはメモリアルホールでアンサンブル発表を行い、多くの保護者の前で演奏します。級友と音を合わせながら、一つの曲を完成させていく経験は、調和力や豊かな表現力を育み、大きな達成感を得ることができます。
アクティブ・ラーニング型授業 [中学1年~高校3年]
6年間を通して数多くのアクティブ・ラーニング型授業を展開しています。ペアやグループでさまざまな角度から物事を考え、自ら結論を出す生徒が主役となる授業や、教科横断型の授業を取り入れ、21世紀のグローバル社会で活躍する人材の育成をめざします。
竹澤先生:主体的に学ぶために、さまざまな工夫を凝らして指導していますが、初年度には、「疑問」にこだわります。疑問を生み出すための具体的な手法や、物事を見る目を意識して指導します。論理性よりも、直感的感性やおもしろい視点などを引き出すことを第一に考えています。
2年目のプログラムでは、「仮説」です。情報には事実と意見(思い込み)があり、事実に基づく根拠のはっきりした仮説を立てることを意識して指導しています。プログラムを通して、調査や作業に関しては協調性や責任ある行動を求め、自律的な行動の必要性を何度も生徒に伝えていきます。また、2グループごとに1名の教員がつき、担当教員の指導に従って全員が活躍できるように役割を分担させます。
そのゴールに据えているのが「達成感」です。一人ではなく、仲間とともに課題について探究し、解決する。その過程で仲間の大切さや、やりきることの大切さ、論理的に考え、行動することの大切さなど、多くのものを得てほしいと考えています。やり遂げたという達成感の先には、自己肯定感があります。自分の可能性を信じる根拠としての達成感が中学校のような多感な時期には大切であり、学んでほしいポイントだと考えています。
編集者から見たポイント
上野学園では、基礎知識や主体性、協調性などを伸ばすために実践的な学びを取り入れています。それらを体験した生徒たちは、さまざまな考え方を持ち寄って、主体的に物事を進めていきます。ペアやグループで信頼関係を構築しながら考えをまとめていく過程は、まさに、社会ですぐに役立つ力ではないでしょうか。一生使える力を身につけられるのが上野学園の学びです。
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