連載インタビュー 第2回 開成中学校・高等学校
inter-edu's eye
日本で最大の東京大学合格者数を誇る開成学園。名門校として長くトップを走り続けている裏側には、開成という空間の中で培われてきた「質実剛健、自主性を重んじる精神」があった。開成の持つ魅力は何なのか?開成に入るためにできることは何か?昨年校長に就任し、ご自身もOBである柳沢幸雄校長に話をうかがった。
【第2回】開成学園が多くの合格者を生み出す要因とは
エデュ:本質的な部分が変わらないという良さの一方で進化してきたものはありますか?
柳沢先生:本質的な部分を土台にしながらも時々刻々変わってきている部分もあります。
私は「世の人のためになるような人になりなさい」と教えていますが、その「世の人のためになる」ために将来何になるかを自分で考えるよう指導しています。まず、自分が考えて、生徒自身がやりたいと思った欲求を先生が真剣に向き合う形です。
ただ、生徒たちが生きている環境は、50年前とは違います。インターネットもあれば携帯電話もある。その中で将来の職業像や夢も変わってくる。
生徒の欲求を先生がちゃんと受け取り、合わせていくことで進化が起こります。
木の根っこは同じでも芽吹きの方向は違いますし、咲く花の色も違います。ですからそれぞれの花が開くよう生徒一人一人が主体となり、それを教師がサポートしていくということを大事にしています。
エデュ:生徒主体の形が実を結び、毎年多くの東京大学合格者を輩出していますが、多くの合格者を生み出す要因はどこにあると考えていますか?
柳沢先生:「東京大学合格」というのはあくまで「結果」であって、東京大学に何人入れようと思って教えているわけではありません。生徒自身が将来のイメージを固めたとき、自分の技術を磨く場所として東京大学を選ぶ生徒が多い結果、合格者数が多くなるのだと思います。
ただ、東京大学を合格する実力があっても芸術で身を立てていきたいという将来像を持つ生徒がいれば、当然芸術関係の大学を選ぶということになります。生徒自身が進路を決めるまで相談に乗り、また決まれば、その目標に向けてサポートをするだけです。
エデュ:生徒が将来像を固めるまで学校側はどのようにサポートしていくのでしょうか?
柳沢先生:生徒にとって接触する年長者は、親と先生だけでは望ましくないと考えています。ロールモデル、憧れの存在となる先輩やOBと関わっていくことが大切です。暗中模索の中学時代だからこそ、憧れの存在を見つけて真似ることは大事だと思います。
そのために、開成では課外活動、つまり運動会や文化祭、生徒会などの委員会活動や、部活動などに参加することを強く勧めています。昨年調べたところによると、中学1年生301名のうちに部活動に入っている生徒は288名。また、委員会活動などに参加している生徒を加えるとのべ602名でした。つまり、「1人2役」ということになります。
学力での評価は生徒の持つ力の1つの側面でしかありません。「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、好きな課外活動に入り、そこで先輩やOBに出会い、また後輩に教えることでいろいろな考え方を知るということが生徒の成長に重要です。好きなことを見つけることから将来の職業イメージが生まれてくると考えています。
⇒第3回「開成学園を目指すには」11/15(木)更新予定!!
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