2012年 東京大学 入試傾向分析インタビュー お茶の水ゼミナール

Q.前年と比べて、今年の受験生の傾向はありますか?

A.東京大は、大学全体の志願者数が対前年指数104と、前年度に続いて志願者数が増加し、安定した人気となった。理系人気の高まりの影響により、前期日程においては、理科一類(対前年指数107)、理科二類(対前年指数110)の志願者数がともに増加したが、対照的に文科類では文科一類を除いて志願者数が減少し、「理高文低」傾向が継続した。

後期日程は東京工業大の後期縮小の影響もあり、事前の予想通り、対前年指数105と増加した。いずれの学類も高難易の入試が続いている事は変わらない。

前期 志望者
12年度 前年比
文科一類 1592 102%
文科二類 1078 90%
文科三類 1439 97%
理科一類 3126 107%
理科ニ類 2252 110%
理科三類 504 89%
後期 志望者
12年度 前年比
理三除く 3324 109%

Q.ここ10年間の東大の問題を分析し、難化もしくは易化の傾向はありますでしょうか?

A. ■英語
要約、段落整序、自由英作文、リスニング、英文解釈、総合問題というこれまでの出題パターンが踏襲されている。ただし1の(C)が姿を消し、リスニングに問題文が印刷されるようになったなどの若干の変更点がみられた。読解問題では語数・設問数も減少し、やや負担が軽減されたと思われる。例年に比べると、時間的には余裕をもって解答することができたと考えられる。

■数学(文系)
ここ数年の入試に比べると、非常に手が付けやすい問題が並んだ。第1問はy の実数条件からx の範囲を求める問題で、極めて典型的な取り組みやすいやや易しいレベルの問題であった。第2問以降も高度な発想が問われる問題は見受けられず、基礎を固めながらしっかりと受験勉強に取り組んだ受験生にとっては、手ごたえが得られる内容であったと思われる。特殊な方法論に走るのではなく、実直に教科書レベルのことを学習するのが非常に効果的な対策であることを再確認させられる問題構成であった。

■数学(理系)
今年度の入試は"素直さ"がキーといえる。第4問の整数問題こそ「連続する2整数は互いに素」を利用するやや難問であったものの、それ以外の設問は標準もしくはやや易レベルの問題であった。教科書に記載されていないことを必死に考えるよりも、きちんと記載されていることを"素直"に処理していくことが求められる内容となっている。

■国語
2000年度以降の形式が踏襲され、難易度も平年並みであった。とはいえ、第1問の現代文で文字数が大幅に増加した点、第2問の古文で歌論が出題され、和歌の解釈が問われた点、また第4問の現代文で短歌に関わる設問が出された点など若干の変更もあり、受験者の中には、難しく感じた受験生もいたと思われる。時間配分にやや工夫が必要とされた。

Q.東大秋入学が実施されることについて、東大受験が今後どのように変化していくとお考えですか?

A.東大も秋入学を宣言した以上、今後は「英語力」を中心にすえた問題にいずれ移行せざるを得ない。
その萌芽が第2問の(A)に見える。英語で書かれた短文の空所に英単語を入れる問題で、その定義が英語で与えられている。
その問題の(5)に「食品の成分」というingredientsを入れさせる問題があった。

従来の東大は1995年から2011年の入試を調べた限り読解にすらingredientsを使った問題はない。つまりpassive vocabulary(意味はわかるが、自分では使えない語彙)としてすら、難しい単語と認識していたのである。それを今年の入試では「書け」。
しかし、世界の人と自由に対話するにはactive vocabulary(ただ意味がわかるだけでなく、自分でも使える語彙)が豊富でないと厳しい。よく日本人が英語の発信力がないとされるが、その大きな原因はactive vocabularyが少ないからである。ギリシャの財政破綻によりギリシャは「緊縮財政」を取らねばならないが、「緊縮財政」をausterity measuresと表現できなければコミュニケーションは難しい。「普天間基地移設問題」 relocation issue of Futenma Air Baseという英語を知らなければ世界の人とこの問題については語れない。

したがって、世界で戦う英語力はactive vocabularyの増強だというメッセージを東大はこの第2問の(A)で発したのかもしれない。

active vocabularyを増やすには、徹底的に英語を聞くことが一番の近道である。podcastなどで英語ニュース番組が無料で毎日聞けるので、これを修練の道具にするとよいだろう。

Q.今年の合格状況について貴塾が考える分析などありましたら、お教えください。

A.後日公開予定!

Q.最後に、来年の東大入試を控えた受験生、保護者の方へアドバイスがありましたらお教えください。

A.後日公開予定!

2012年東大・京大 入試傾向分析インタビュー

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