2012年 東京大学 入試傾向分析インタビュー 駿台予備学校
前年と比べて、今年の受験生の傾向はありますか?
また、文理でセンター試験後の志望科類変更の動きも大きく異なったことも特徴的です。文科ではセンター試験自己採点集計時点での第1段階選抜通過ラインが高いと予想された文二、文三から文一への志望変更が起こり、本番の第1段階選抜通過ラインは逆に文一が最も高くなってしまいました。一方、理科は理一が自己採点集計時点で第1段階選抜ラインが770点という非常に高いラインが予想されたのにも関わらず、そのまま初志貫徹した受験生が多く、本番の最低点も全く同じ770点となりました。理系成績上位層の理一へのこだわりが非常に目立った入試だったといえます。
ここ10年間の東大の問題を分析し、難化もしくは易化の傾向はありましたか?
かつて見られたような超難問は、少なくなっています。むしろ、受験生にとっては一見取り組みやすいと思われる出題が多くなっています。最近の全般的な傾向として、知識量は豊富でもそれを答案としてうまく解答に表せられない受験生が増えています。東大は、単なる学力ではなく、表現力や与えられた試験時間内で答案を作成する問題解決能力も試そうとしているのです。入試直後に「良くできた」という受験生が、不合格になって成績開示の結果を見ると思ったほどには得点できていなかったという例も数多く見ることができます。つまり、表面的な問題レベルは易化しているように見えますが、解答に対しては逆に以前よりももっとシビアに基本的な部分の正確さや緻密な論理性を要求されているわけです。したがって、総合的には決して易化していないといえます。
東大秋入学が実施されることについて、東大受験が今後どのように変化していくとお考えでしょうか。
なお、秋入学の前に今年度の高1生から新学習指導要領に従った入試となります。すでに数学、理科の入試科目が発表されていますが、これによるとセンター試験での理科が従来以上に重視されますから、低学年からしっかりと取り組んで理科2科目をバランスよく学習していって欲しいと思います。
今年の合格状況について貴校が考える分析などありましたら、お教えください。
また、後期の2段階選抜で前期合格により不合格になった人数が前年度より101人増加しました。これにより、前期合格者の後期への学内併願率は51.3%→54.7%にアップしました。難関大全体での後期の廃止や縮小があった影響もありますが、東大にこだわる受験生が増加したことが特徴的でした。
最後に、来年の東大入試を控えた受験生、保護者の方へアドバイスがありましたらお教えください。
東大合格には、特別な難問対策や10年以上もさかのぼって大量の過去問をこなすことは不必要です。また、いわゆる予想問題に頼るような学習法も無意味です。日々の高校での学習でしっかりとした基礎力を身につけ、それを応用的な問題にいかに使っていくかの練習の積み重ねが大事です。解法を覚えるのではなく、未知の問題に対していかに対応していくのか、その考え方やプロセスを身につけることが合格への近道になります。東大合格者の成績のパターンは毎年ほぼ一定です。それを見ると、得意科目に頼るのではなく、不得意科目を克服し、教科間のバランスが良い学力を身につけることが肝要です。これからの1年間、途中で苦しい時期もあると思いますが、「第一志望は、ゆずれない。」の気概で再度まで努力を続けてください。